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在日コリアン高齢者の在宅介護ニーズにおける 現状と課題: 日本の介護支援専門員に対するインタビュー調査


AUTHOR
黃才榮
INFORMATION
page. 51~65 / Volume 19

e-ISSN
p-ISSN
1226-2641

ABSTRACT

日本の介護支援員は, 在日コリアン高齢者の在宅介護のケアマネジメントを行ううえで, どのようなニーズと処遇困難点を感じているのかという問題意識の下で, 5名の介護支援員を対象に半構造化面接を行い, 得られた発言の內容をカテゴリ化する手法を用いて, 分析を行った. その結果, 在日コリアン高齢者の在宅介護ニーズとしでは, “文化配慮への期待(5人),” “家族による支援(5人),” “自立生活への意識(3人),” “生き方․生活史への尊重(2人),” “経済的な支援(1人)”の5つのカテゴリにまとめることができた. また, 処遇困難点としては, “文化への理解(3人),” “介護保険制度への説明(2人),” “生き方․生活史による信頼構築(2人),” “経済的な状況(1人),” “アイデンティティ(1人)”の5つのカテゴリに分類された. この結果は, “文化配慮(5人),” “家族支援(5人)”に関するニーズが最も多く指摘された. 特に先行硏究の知見と同じニーズとして“文化配慮,” “家族支援,” “自立意識”の3つのカテゴリが再確認された.一方, 新たなニーズとして“生き方․生活史への尊重(2人),” “経済的要因(1人)”を確認することができた. 介護支援専門員は“在宅介護ニーズ”と困難“点”においても, 同じカテゴリとして“文化要素,” “個個人の背景要素,” “経済要素”を挙げた. この3つの要素は介護ニーズでありながら処遇困難課題であることが明らかになった. 特に処遇における困難点としては, “文化への理解(3人)”が多く擧げられた. 一方, 日本の介護支援専門員は, 在日コリアンの“家族支援,” “自立意識”のニーズについて困難とは意識していなかった. 今後, さらにデータを集積し, 介護支援専門員の立場からの介護ニーズや困難点の具体的な実態を明らかにしたい.