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地域高齡者における行政が行う 機能訓練事業の効果


AUTHOR
今村桃子
INFORMATION
page. 91~104 / Volume 15

e-ISSN
p-ISSN
1226-2641

ABSTRACT

本研究では, 機能訓練事業の利用者の視点に立脚し, 包括的な健康状態を表す健康関連QOL(以下HR-QOL)を把握し, 機能訓練事業の効果を検討した. 硏究の対象者はK町の機能訓練事業に参加した高齢者である. 方法はSF-36指標, 生活習慣, 参加状況, 効果, ソ-シャルサポ-トなど質問紙を用い自己記入法により実施した. 本硏究の結果は, ①本事業参加者の年齢が43歳~92歳であり同居が9割, 自立度は高く通院している者が多い; ②HR-QOLの身体的健康度は年齢とともに低下し, 通院している者は低く差がみられた; ③本事業の参加は配偶者のいない者が多く, 参加頻度が多い者ほどHR-QOLが低く“身体の痛み”に関連していた; ④参加後の変化を肯定的に受けとめている者はHR-QOLが低く“日常役割機能”に関連がみられた; ⑤ソ-シャルサポ-トのある者はHR-QOLが高く関連があった.利用者は心身的な健康度を客観的に評価しており, HR-QOLの低い者ほど本事業の効果が期待を客観的に評価しており, HR-QOLの低い者ほど本事業の効果が期待できるため, 今後は家族を巻き込み心身両面からのプログラムの検討や新たな専門職の導入が重要である.